「未経験でも転職しやすい職種って、どれなんだろう」
20代で職種を変えたいと思ったとき、最初に知りたくなる情報です。ただ、この質問に対する記事の多くは「おすすめ職種10選」で終わっていて、なぜ入りやすいのかまでは書かれていません。
そして重要な事実がひとつ。「事務職なら未経験でも入りやすい」は誤解です。事務は求人倍率が低い=もっとも競争が激しい職種のひとつです。
この記事では、データで入りやすさを確認したうえで、「入りやすい」の裏側にある理由の見分け方まで解説します。
- 職種によって「入りやすさ」がどれくらい違うのか(公的データ)
- なぜ事務職は難しいのか
- 未経験から入りやすい職種と、その理由
- 「入りやすい」の裏側を見分けるポイント
- 職種を変えるなら、なぜ今なのか
データ|職種で「入りやすさ」はまるで違う
まず全体の数字から。厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、有効求人倍率は令和7年度平均で1.20倍でした。求職者1人に対して求人が1.2件ある状態です。
ただしこれは全職種の平均です。職業別に見ると、差は非常に大きくなります。
| 傾向 | 職業 | 意味 |
|---|---|---|
| 倍率が高い (人が足りない) | 保安/建設・採掘/介護関係 | 2019年から一貫して高水準。構造的な人手不足 |
| 倍率が低い (応募が多い) | 事務的職業/管理的職業 | 2025年はコロナ前の2019年を下回る水準 |
「事務職なら未経験でも」がいちばん危ない
20代が職種を変えるとき、事務職を希望する人は非常に多いです。しかし事務は求人倍率がもっとも低い職業のひとつです。
理由は単純で、希望する人が多いのに、求人が少ないからです。加えて、定型的な事務作業はシステム化が進んでいます。
未経験可でも、応募者が殺到する職種は結局通りません。見るべきは求人の数ではなく、求人の数と応募者の数の比です。
未経験から入りやすい職種と、その理由
職種名を並べるだけでは意味がないので、なぜ未経験可が多いのかとセットで整理します。
| 職種の系統 | 未経験可が多い理由 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 営業 | 採用数が多く、研修が整っていることが多い | 人と話すことに抵抗がない/数字で評価されたい |
| 介護・福祉 | 構造的な人手不足。資格取得の支援制度がある職場が多い | 人の役に立つ実感を得たい/手に職をつけたい |
| 施工管理・技術系 | 建設分野は求人倍率が高い状態が続いている | 段取りを組むのが得意/体を動かすのが苦でない |
| IT(エンジニア・サポート) | 需要が伸びており、育成前提の採用がある | 学び続けることが苦でない |
| 販売・接客 | 採用数が多く、経験が浅くても入りやすい | 対面のやりとりが好き |
この表は「この職種にしなさい」という意味ではありません。入りやすさは、あなたに合うかどうかとは別の話です。入りやすい職種を選んで、また合わずに辞めては意味がありません。
「入りやすい」の裏側を見分ける
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。人手が足りない理由には2種類あります。
| ①需要が伸びている | ②人が辞めていく | |
|---|---|---|
| 状態 | 事業が拡大して人が要る | 入っては辞めるを繰り返している |
| 求人の出方 | 時期によって出たり止まったり | 年中いつでも募集している |
| 採用人数 | 数名〜 | 「◯◯名以上」と大量 |
| 入社後 | 育ててもらえる可能性が高い | 同じ理由で自分も辞めることになりやすい |
- 1年以上ずっと同じ求人が出ていないか(求人サイトで会社名を検索すると分かる)
- 採用人数が極端に多くないか
- 給与の幅が異常に広くないか(例:月給20万〜60万)
- 仕事内容が抽象的すぎないか(「幅広い業務」だけ、など)
- みなし残業(固定残業代)の時間数が長すぎないか
短期離職を経験した人ほど、「次は絶対に失敗したくない」と思っているはずです。だからこそ、入りやすさより「なぜ入りやすいのか」を見てください。
それでも事務職を目指すなら
倍率が低いからといって、諦める必要はありません。入り方を変えれば可能性は上がります。
- 隣接職種から入る|営業事務、カスタマーサポート、経理補助など
- 業界を広げる|人気の業界にこだわらない
- スキルで差をつける|表計算の実務レベル、簿記など。求人票の「歓迎」欄を確認する
- まず経験を積む|他職種で数年働いてから事務へ移る道もある
学ぶものを選ぶときは、行きたい求人票の「必須」「歓迎」欄に書かれているものを基準にしてください。ランキング記事より正確です。
職種を変えるなら「今」である理由
ひとつだけ、時期の話をします。
未経験の職種に移りやすいのは、経験が浅いうちだけです。年数が増えるほど「今の職種での実績」で評価されるようになり、方向転換の難易度が上がります。
| 第二新卒枠(卒業後3年以内が目安) | 中途枠 | |
|---|---|---|
| 見られるもの | 伸びしろ・人柄 | 実績・即戦力性 |
| 未経験職種 | 挑戦しやすい | 難しくなる |
| 研修 | 用意されていることが多い | 基本的にない前提 |
焦って辞める必要はありません。ただし職種を変えたいと思っているなら、「調べる」だけは早いほうが得です。
職種を選ぶときの4つの基準
- 前回辞めた理由が、そこでは起きないか(環境か、仕事内容か)
- 3年後にその職種で働いている自分が想像できるか
- その職種の先輩を見て、そうなりたいと思うか
- 求人が「なぜ」出ているか(成長か、離職か)
1番目が最重要です。前回の退職理由が「環境」だったのに職種ごと変えると、積み上げた経験を捨てることになります。まずそこを切り分けてください。
未経験転職についてよくある質問
まとめ|「入りやすさ」より「なぜ入りやすいか」
- 有効求人倍率は全体で1.20倍だが、職種によって差が非常に大きい
- 保安・建設・介護関係は倍率が高い(人が足りていない)
- 事務的職業は倍率が低い。「未経験でも入りやすい」は誤解
- 「未経験可の求人が多い」と「入りやすい」は別
- 人手不足には①需要が伸びている ②人が辞め続けているの2種類がある
- 年中同じ求人・大量採用・給与幅が広すぎる求人は理由を確認する
- 職種を変えるなら第二新卒枠が使えるうちが有利
「未経験でも入れる職種」を探すこと自体は間違っていません。ただ、入りやすさだけで選ぶと、入れた会社でまた同じ悩みに戻ります。
入りやすい理由まで確かめる。それだけで、次の一社の当たり外れはかなり変わります。
※ 有効求人倍率は時期によって変動します。最新の数値は厚生労働省「一般職業紹介状況」でご確認ください。
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