「辞めると決めた。でも、上司にどう切り出せばいいのか分からない」
退職で本当に怖いのは、辞めること自体ではなく最初の一言です。何と言えばいいのか、いつ言えばいいのか、引き止められたらどうするのか。頭の中でシミュレーションするほど動けなくなります。
「お話ししたいことがあるので、15分ほどお時間をいただけますか」
その場で理由まで説明しようとしないこと。切り出す場面と、理由を話す場面は分けたほうがうまくいきます。
この記事では、新卒が退職を切り出すときのセリフ・タイミング・想定問答を、そのまま使える形でまとめます。
- 誰に、いつ、どう切り出すか
- そのまま使える最初の一言と、理由の伝え方
- 引き止められたときの想定問答
- 退職願と退職届の違い
- 会社が辞めさせてくれないときの対処
切り出す前に決めておく3つ
準備なしで話すと、その場で押し切られます。決めておくのはこの3つだけです。
| 決めること | ポイント |
|---|---|
| ①退職希望日 | 就業規則を確認(「1か月前まで」等の定めが多い) |
| ②辞める理由(外向け) | 不満ではなく自分の方向性として言えるように |
| ③引き止められても変えない | 迷いが見えると交渉が始まる |
就業規則は、社内サイトか総務で確認できます。まずそこを見てから日付を決めてください。
誰に・いつ言うか
相手は「直属の上司」が先
順番を間違えると、それだけで面倒になります。
- ①直属の上司に、二人で話せる場で伝える
- ②上司から人事へ話が通る
- ③退職日が固まってから、同僚や取引先へ
同僚に先に話すのは避けてください。人づてに上司の耳へ入ると、「なぜ自分に言わなかったのか」という別の問題が発生します。
タイミングは「週の後半・終業前」
| おすすめ | 避けたい |
|---|---|
| 週の後半(水〜金) | 月曜の朝、繁忙期の締め日 |
| 終業間際、または昼休み明け | 朝礼直後・来客前 |
| 会議室など二人になれる場所 | フロアの立ち話・オンラインのチャット |
アポの取り方は簡単です。「ご相談したいことがあるので、15分ほどお時間いただけますか」。この時点で内容は言いません。
実際のセリフ(そのまま使えます)
最初の一言
「お時間ありがとうございます。私事で恐縮ですが、退職させていただきたいと考えております。
就業規則を確認したうえで、◯月末での退職をお願いできればと思っています。引き継ぎは責任を持って行います。」
ここで大事なのは「辞めたいと思っています」ではなく「退職させていただきたいと考えております」と言い切ることです。前者は相談、後者は報告です。
そして、この時点で理由を長く語らないでください。ほぼ必ず「理由は?」と聞かれます。そこで話せば十分です。
理由の伝え方
社内で伝える理由は、面接で話す理由と同じである必要はありません。角が立たない形に翻訳します。
| 本音 | 社内での言い方 |
|---|---|
| 仕事内容が合わない | 「◯◯の分野に挑戦したい気持ちが強くなりました」 |
| 残業が多すぎる | 「働き方を見直したいと考えるようになりました」 |
| 上司との関係 | 「今後のキャリアを考えた結果です」(人の話にしない) |
| 給与が低い | 「今後の生活設計を考えたうえでの判断です」 |
- 具体的な人の名前を出した不満(改善提案に切り替えられて話が長引く)
- 転職先の社名(詮索や、引き抜き扱いの原因になることがある)
- 「まだ次は決まっていません」(言う必要はない。聞かれたら「検討中です」で十分)
引き止められたときの想定問答
新卒の退職は、ほぼ引き止められます。用意しておけば動揺しません。
| 言われること | 返し方 |
|---|---|
| 「もう少し続けてみたら」 | 「考えた結果の結論です。気持ちは変わりません」 |
| 「次は決まっているの?」 | 「検討を進めています」(社名は言わない) |
| 「給与を上げるから残って」 | 「ありがたいのですが、理由は待遇ではありません」 |
| 「部署を変えてもいい」 | その場で答えず「持ち帰って考えます」でも可 |
| 「後任がいないから困る」 | 「引き継ぎは責任を持って行います」 |
| 「今辞めたら損害賠償だ」 | 退職しただけで賠償を負うことは原則ありません |
コツは同じ言葉を繰り返すことです。理由を増やすほど、そこを崩されます。「考えた結果の結論です」を軸に、淡々と繰り返してください。
退職願と退職届の違い
口頭で伝えたあと、書面を出します。2つは意味が違います。
| 退職願 | 退職届 | |
|---|---|---|
| 意味 | 「退職させてください」とお願いする | 「退職します」と届け出る |
| 撤回 | 受理前なら撤回の余地がある | 原則できない |
| 使う場面 | 円満に進める一般的なケース | 意思が固い/受理してもらえないとき |
会社の書式がある場合はそれに従ってください。ない場合は手書きでもパソコンでも構いません。提出したら、控えかコピーを必ず手元に残してください。
辞めさせてもらえないときは
「認めない」「後任が決まるまでダメ」と言われることがあります。ここは法律の話です。
期間の定めのない雇用契約の場合、労働者はいつでも解約の申入れができ、申入れの日から2週間を経過することによって雇用契約は終了します(民法第627条)。つまり会社の同意がなくても、原則として退職できます。
ただし極端に長い申出期間(半年前など)は、退職の自由を過度に制限するとして無効とされることがあります。「辞めさせない」は通りません。
それでも話し合いにならない場合は、一人で抱えないでください。労働基準監督署や、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーに無料で相談できます。
退職の切り出し方についてよくある質問
まとめ|相談ではなく、報告として伝える
- 最初の一言は「15分ほどお時間いただけますか」だけでいい
- 伝える順番は直属の上司 → 人事 → 同僚
- タイミングは週の後半・終業間際・二人になれる場所
- 「辞めたいと思っています」ではなく「退職させていただきたいと考えております」
- 理由は角度を変えて伝える。人の名前と転職先の社名は出さない
- 引き止めには同じ言葉を繰り返す
- 法律上は申入れから2週間で退職できる(就業規則が原則優先)
切り出す前は、頭の中で最悪の反応ばかり想像してしまいます。ただ、実際にやってみるといちばん重いのは「言う前の時間」で、言ってしまえば手続きが進むだけです。
用意するのは、長い説明ではなく短い一言。それだけで大丈夫です。
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