「次は、絶対に失敗したくない」
一度早期離職を経験すると、次の会社選びが怖くなります。また同じことが起きたらどうしよう。でも、入ってみないと分からないことばかり——そう思っていませんか。
会社選びは「印象」ではなく「数字」で見る。そのための道具が3つあります。
この記事では、企業に情報を出させる法的な仕組み、国が認定した企業を探す方法、そして求人票の危険サインをまとめます。
- 前回のミスマッチは、何が原因で起きたのか
- 企業に職場情報を出させる法的な仕組み
- 国が「若者の雇用管理が優良」と認定した企業の探し方
- 求人票の危険サイン
- 面接で必ず確認したい5つの質問
前回のミスマッチは、なぜ起きたのか
まず整理します。早期離職の原因は、たいてい「入社前に確認できなかったこと」に集中しています。
| 辞めた理由 | 入社前に確認できたか |
|---|---|
| 仕事内容が説明と違った | 確認できた(具体的な業務内容を聞く) |
| 残業が多すぎた | 確認できた(所定外労働時間を聞く) |
| 教えてもらえなかった | 確認できた(研修の有無と内容を聞く) |
| 人がどんどん辞めていく | 確認できた(離職者数を聞く) |
| 特定の上司と合わなかった | 確認しづらい |
| 社風が合わなかった | 確認しづらい |
上の4つは、入社前に数字で確認できます。知らなかっただけです。ここから、その方法を書きます。
道具1|企業には、情報を出す義務がある
これがいちばん強力です。しかも、ほとんど知られていません。
若者雇用促進法により、応募者等から求めがあった場合、企業は「青少年雇用情報」を提供することが義務づけられています。次の3類型それぞれについて、1つ以上を提供しなければなりません。
| 類型 | 含まれる情報の例 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| ①募集・採用の状況 | 平均勤続年数、離職者数など | 人が定着しているか |
| ②職業能力の開発・向上 | 研修の有無および内容など | 育ててもらえるか |
| ③職場への定着の促進 | 所定外労働時間、有給休暇の取得状況など | 働き方が持続可能か |
「応募にあたって、青少年雇用情報を教えていただけますか」と伝えるのがいちばん確実です。個別には次のように聞けます。
・「直近の新卒の方の離職状況を教えてください」
・「入社後の研修は、どのような内容で何ヶ月ありますか」
・「先月の平均的な残業時間はどれくらいでしたか」
転職エージェント経由なら、担当者から企業に確認してもらうこともできます。自分で聞きにくい場合はこちらを使ってください。
そして重要なのは、情報を出したがらない会社は、それ自体が判断材料になるということです。
道具2|国が認定した企業から探す
もうひとつ、探し方そのものを変える方法があります。
厚生労働省の「ユースエール認定制度」は、若者雇用促進法にもとづき、若者の採用・育成に積極的で、雇用管理の状況が優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。
- 常時雇用する労働者が300人以下の中小企業であること
- 若者向けの正社員の求人申込み・募集を行っていること
- 直近3事業年度の新卒者等の正社員としての離職率が20%以下
- 前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下、かつ月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員が1人もいない
- 若者の採用・人材育成に積極的に取り組んでいること
出典:厚生労働省「ユースエール認定制度」
注目してほしいのは離職率20%以下と月平均所定外労働時間20時間以下です。これは「人が辞めていない」「残業が管理されている」ことを、国の基準でクリアしているという意味になります。
認定企業は、厚生労働省の「若者雇用促進総合サイト」で検索できます。また職場情報を集めた「しょくばらぼ」でも企業の職場情報を確認できます。
ただ、「一度早期離職を経験した人が、次に長く働ける会社を探す」という目的なら、知名度より離職率のほうが重要な指標です。
道具3|求人票の危険サインを見抜く
制度を使わなくても、求人票だけで分かることがあります。
| サイン | 疑うべきこと |
|---|---|
| 1年中ずっと同じ求人が出ている | 採用しても人が定着していない可能性 |
| 採用人数が極端に多い | 大量採用・大量離職の構造かもしれない |
| 給与の幅が異常に広い(月給20万〜60万など) | 上限は歩合や役職者の金額であることが多い |
| 仕事内容が抽象的(「幅広い業務」だけ) | 入社後のミスマッチの温床 |
| みなし残業の時間数が長い | その時間まで働く前提の設計になっている |
| 「アットホーム」「若手が活躍」だけが強調 | 数字で語れる特徴がない可能性 |
いちばん簡単なチェックは、求人サイトでその会社名を検索して、いつから求人が出ているかを見ることです。1年以上同じ職種で募集し続けているなら、理由を確認してください。
面接で必ず確認したい5つ
面接は、選ばれる場であると同時にこちらが選ぶ場でもあります。この5つは必ず聞いてください。
- 入社後3ヶ月間は、具体的にどんな業務を担当しますか
- 研修はどのような内容で、期間はどれくらいですか
- 先月の部署の平均的な残業時間を教えてください
- この職種で、直近入社された方はどのような経歴でしたか
- 入社1年目の方が、いちばん苦労するのはどんな点ですか
1番目が最重要です。「幅広く」「いろいろ」としか答えられない場合、入社後の業務が固まっていない可能性があります。前回のミスマッチが「仕事内容が説明と違った」なら、ここを必ず詰めてください。
そして条件は必ず書面で確認してから承諾すること。口頭の「だいたいこれくらい」で退職を切り出さないでください。
それでも、分からないこともある
正直に書きます。ここまでやっても、入社前に確認できないことはあります。
- 配属先の上司との相性
- 実際の職場の空気
- 入社後の組織変更や異動
だからこそ、「絶対に失敗しない会社」を探そうとしないでください。それを探し始めると、いつまでも決められなくなります。
目指すのは完璧な会社ではなく、確認できることを全部確認したうえで選ぶことです。それができていれば、仮に合わなかったとしても「調べ方が足りなかった」ではなく「調べたうえで起きたこと」になります。次の判断も速くなります。
会社選びについてよくある質問
まとめ|印象ではなく、数字で選ぶ
- 早期離職の原因の多くは入社前に確認できたこと
- 若者雇用促進法により、応募者が求めれば企業には情報提供の義務がある
- 確認できるのは離職者数・研修の有無と内容・所定外労働時間・有給取得状況など
- ユースエール認定企業は、離職率20%以下・所定外労働月平均20時間以下などの基準をクリアした中小企業
- 認定企業は若者雇用促進総合サイトやしょくばらぼで探せる
- 求人票は「1年中出ている」「給与の幅が広い」「業務が抽象的」に注意
- 「絶対に失敗しない会社」を探さない。確認できることを確認して選ぶ
一度早期離職を経験すると、次の会社選びが怖くなります。でも、怖さの大部分は「確認する方法を知らなかったこと」から来ています。
聞いていい。調べていい。それは制度としても認められています。前回できなかった確認を、今回はしてください。
※ 本記事は2026年9月時点の制度にもとづく一般的な説明です。認定基準や制度の詳細は変更される場合があります。最新の情報は厚生労働省の各サイト、またはハローワークでご確認ください。
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