「このまま今の会社にいていいのかな」
「でも、辞めて何がしたいのかも分からない」
20代でそう感じているなら、それは特別なことではありません。むしろ、20代の多くが同じ場所で立ち止まっています。
ただ、そこで多くの人がつまずくのは「自分に何ができるか」ではなく、そもそも選択肢を知らないことです。転職しかないと思い込んでいたり、副業は特別な人がやるものだと思っていたり。選べる道を知らないまま、目の前の一択で悩み続けてしまいます。
この記事では、20代のキャリアにある就活・転職・副業という3つの選択肢を整理し、今の自分がどれから手をつけるべきかを判断できるところまで案内します。
- 20代がキャリアに迷うのは、なぜ「普通」なのか
- 就活・転職・副業という3つの選択肢の違いと向き不向き
- 今の自分がどれから始めるべきかの判断基準
- 選択肢ごとに、最初にやるべき具体的な行動
- 20代がキャリアで失敗しやすいパターンと避け方
20代でキャリアに迷うのは、あなただけじゃない
最初に、前提を共有させてください。20代でキャリアに迷うのは、能力や根性の問題ではありません。データを見ると、それがはっきり分かります。
大卒の3人に1人が、3年以内に会社を辞めている
厚生労働省の調査によると、2022年3月に大学を卒業して就職した人のうち、33.8%が3年以内に離職しています。短大等卒では44.5%、高卒では37.9%です。
| 学歴 | 就職後3年以内の離職率 |
|---|---|
| 大学卒 | 33.8% |
| 短大等卒 | 44.5% |
| 高校卒 | 37.9% |
つまり、新卒で入った会社を3年以内に辞める人は「少数派の落ちこぼれ」ではなく、3人に1人いる普通の存在だということです。
いちばん多い悩みは「このままでいいのか分からない」
20代のキャリアの悩みは、実は「今の会社が嫌だ」よりも、その一歩手前で止まっていることが多いです。よく聞くのは、こんな声です。
- 仕事はできなくはないけど、10年後この延長線上にいたくない
- 辞めたいわけじゃないけど、続けたい理由もない
- やりたいことが分からないから、動きようがない
- 周りが転職や副業を始めていて、焦りだけがある
- 今の会社しか知らないから、比べようがない
これらに共通しているのは、不満の大きさではなく、判断材料がないことです。転職すべきかどうかを判断するには、転職先の相場や、自分の市場価値や、他の働き方を知っている必要があります。それを知らないまま「どうすべきか」を考えても、答えが出るはずがありません。
迷いの正体は「選択肢を知らない」こと
「辞めるか、続けるか」の二択で考えている限り、答えは出ません。どちらにもリスクがあり、どちらにも根拠がないからです。
実際の20代には、もっと多くの道があります。次の章で、その全体像を整理します。
20代のキャリアには「就活・転職・副業」の3つの選択肢がある
20代が取れる行動は、大きく3つに分けられます。それぞれ、リスクの大きさも、結果が出るまでの時間も、得られるものも違います。
この記事では、以降ずっと就活=緑・転職=青・副業=オレンジで色分けして説明します。
選択肢1|就活・就職 ── 社会に出る前、または一度立て直す
これから就職する人、あるいは一度離職してもう一度就職先を探す人の道です。既卒・第二新卒として就活をやり直すケースもここに含まれます。
ポイントは、新卒の就活と、既卒・第二新卒の就活はルールが違うこと。新卒は「ポテンシャル」で見られますが、既卒・第二新卒は「なぜ前の会社を辞めたのか」「次で何をしたいのか」を必ず聞かれます。同じつもりで臨むとうまくいきません。
▼ こんな人に向いている
- まだ就職していない、または離職中
- 今の業界・職種が明らかに合っていないと確信している
- 腰を据えて基礎から積み直したい
選択肢2|転職 ── 環境を変えて、キャリアを積み直す
20代でもっとも現実的で、もっとも効果が大きいのがこれです。理由は単純で、20代は「経験」ではなく「これから伸びるか」で採用される数少ない時期だからです。
30代になると、企業は即戦力としての実績を求めます。しかし20代、特に第二新卒の枠では、未経験の業界・職種にも移れます。この「やり直しがきく期間」は、思っているより短いです。
一方で、勢いだけで辞めると失敗します。転職には「辞めてから探す」「在職中に探す」の2パターンがあり、どちらを選ぶかで結果が大きく変わります。
▼ こんな人に向いている
- 今の環境が原因で、心身に負担がかかっている
- 今の会社では身につかないスキルがある
- 2〜3年後になりたい姿が、今の延長線上にない
選択肢3|副業 ── 会社を辞めずに、外で通用するか試す
副業は、いまや特別な人のものではありません。パーソル総合研究所の調査では、正社員の副業実施率は11.0%と過去最高を記録し、20代男性では20.2%と平均を大きく上回っています。
注目したいのは理由の変化です。同じ調査では、「副収入を得たい」など収入補填を理由とする回答が2023年調査より減少する一方、「自分のスキルが他の場所でも通用するか試したい」といった理由が増えています。つまり、副業の動機がお金だけでなく、市場価値の確認やキャリア形成へと広がっているということです。
これは、転職を迷っている人にとって非常に相性がいい選択肢です。会社を辞めずに、外の世界での自分の価値を測れるからです。
▼ こんな人に向いている
- 今の会社に致命的な不満はないが、将来が不安
- 転職すべきか判断する材料がほしい
- いきなり環境を変えるのは怖い
3つの選択肢を比べるとこうなる
| 就活・就職 | 転職 | 副業 | |
|---|---|---|---|
| リスク | 中 | 中〜高 | 低 |
| 結果が出るまで | 3〜6ヶ月 | 2〜4ヶ月 | 1ヶ月〜 |
| 得られるもの | 職歴の土台 | 環境・年収・経験 | スキル・収入・自信 |
| やめても失うもの | 時間 | 時間・在籍歴 | ほぼなし |
| 本業と並行できる? | △ | ○(在職中に可能) | ◎ |
自分はどれから始めるべき?判断の3ステップ
選択肢が分かっても、自分がどれに当てはまるかは別問題です。上から順に考えていくと整理できます。
-
STEP 1今すぐ動くべき状態かを確認する心身に限界が来ていないか。ここに当てはまるなら、他は考えずに環境を変える。
-
STEP 2不満が「環境」か「仕事内容」かを切り分ける会社を変えれば解決するのか、仕事そのものが合わないのか。ここで進む道が分かれる。
-
STEP 3動ける余裕があるかを確認する時間とお金の余裕がどれくらいあるかで、転職から始めるか副業から始めるかが決まる。
STEP1|今すぐ動くべき状態かを確認する
まず、次のどれかに当てはまるなら、他を考える前に環境を変えることを優先してください。ここは我慢や根性の問題ではありません。
- 眠れない、食欲がない、休日も仕事のことを考えて動けない
- 暴言・恫喝・過度な叱責が日常的にある
- 残業代が支払われない、休日が取れない状態が続いている
- 体調の不調が続いていて、受診をすすめられた
この状態でキャリア設計を考えるのは順番が違います。まず離れることが最優先です。
STEP2|不満が「環境」か「仕事内容」かを切り分ける
次に、辞めたい理由がどちらなのかを分けます。ここを混同すると、転職しても同じことを繰り返します。
| 不満の種類 | 具体例 | 向いている選択肢 |
|---|---|---|
| 環境の問題 | 人間関係、労働時間、社風、給与 | 転職(会社を変えれば解決する) |
| 仕事内容の問題 | 業務が合わない、やりがいがない | 副業で他を試す → 転職 |
| 方向性が不明 | 何がしたいか分からない | 副業・情報収集から |
「人間関係が最悪」なら、会社を変えれば解決します。しかし「この仕事自体に興味が持てない」なら、同じ職種に転職しても何も変わりません。ここの見極めがいちばん重要です。
STEP3|動ける余裕があるかを確認する
最後に、時間的・経済的な余裕を確認します。ここで進め方が決まります。
余裕がない(心身がつらい・貯金が少ない)
→ 在職中に転職活動を始める。収入を止めないことが最優先。
余裕がある(今すぐ辞める必要はない)
→ 副業から始める。市場価値を確認してから転職を判断できる。
すでに離職している
→ 就職活動を軸に。ブランクが長くなる前に動く。
選択肢別|最初にやることリスト
方向が決まったら、最初の一歩は具体的なほどいいです。それぞれ、今週中にできることから並べます。
転職から始める人がやること
- 辞めたい理由を紙に書き出す
頭の中だけだと「なんとなく嫌」で止まります。 - 求人サイトで今の自分の相場を見る
応募しなくていいので、年収と条件だけ確認します。 - 在職中のまま転職活動を始める
辞めてからでは、焦りで判断が鈍ります。 - 転職エージェントに1社だけ登録して話を聞く
無料で相場観が手に入ります。
「辞めるかどうか」でまだ迷っている人がやること
求人を見て、話を聞いて、そのうえで「今の会社のほうがいい」と思えたなら、それは立派な結論です。比べたうえで残ることと、知らないまま残ることは、まったく違います。
副業から始める人がやること
- 就業規則で副業が禁止されていないか確認する
ここを飛ばすと後で揉めます。 - 本業のスキルが外で売れるか試す
ゼロから新しいことを始めるより成功率が高いです。 - まず月1万円を目標にする
金額より「自分の力で稼げた」という事実が効きます。 - 3ヶ月続けて、手応えを判断する
合わなければやめても、失うものはほとんどありません。
就職・就活から始める人がやること
- 「なぜ前の会社を辞めたか」を言語化する
既卒・第二新卒では必ず聞かれます。 - ブランク期間の説明を用意する
空白そのものより、説明できないことが不利になります。 - 既卒・第二新卒向けの支援サービスを使う
新卒向けとは扱っている求人の種類が違います。
20代がキャリアで失敗しやすい3つのパターン
動き出す前に、避けたい失敗も知っておいてください。どれも、私自身や周りが実際にはまったものです。
失敗1|「逃げたい」だけで次を決めてしまう
今の会社から離れることが目的になると、次の会社の条件を冷静に見られなくなります。結果、「前よりマシ」なだけの会社に入って、1年後にまた同じ悩みを抱えることになります。
失敗2|情報を集めすぎて動けなくなる
これがいちばん多い失敗かもしれません。記事を読み、口コミを調べ、比較サイトを見て、結局何もしないまま半年が過ぎる。
20代のキャリアで、半年の停滞は思っている以上に大きいです。第二新卒の枠は年齢で区切られるからです。
失敗3|一人で全部決めようとする
自分の市場価値は、自分では分かりません。今の会社の中での評価しか知らないからです。
親や上司に相談すると「もう少し続けたら」と言われがちですが、それは彼らが今の転職市場を知らないからでもあります。
20代のキャリアで大事なのは「選べる状態」を作ること
正解を当てにいく必要はない
20代のうちに「一生続けられる天職」を見つける必要はありません。というより、そんなものは動いた結果として後から分かるものです。
今やるべきなのは、正解を当てることではなく、選べる状態を作ることです。転職できる選択肢がある。会社の外でも稼げる手段がある。その状態にいるだけで、同じ会社にいても心の余裕がまったく違います。
20代の1年は、30代の1年より重い
厳しい話をすると、20代は「未経験でも採用される」最後の期間です。30代になると、企業は実績を求めます。第二新卒という枠も使えなくなります。
だからといって焦る必要はありませんが、「いつか考えよう」を先送りにするコストは、年々上がっていくことは知っておいてください。
20代のキャリアについてよくある質問
まとめ|迷っているなら、まず「知る」ところから
この記事の要点を、もう一度整理します。
- 大卒の33.8%が3年以内に離職している。20代で迷うのは普通のこと
- 迷いの正体は不満の大きさではなく、判断材料がないこと
- 20代の選択肢は就活・転職・副業の3つ。排他的ではなく組み合わせられる
- 心身がつらいなら、何より先に環境を変える
- 不満が「環境」なら転職、「仕事内容」なら副業で試してから
- 余裕がないなら在職中に転職活動、余裕があるなら副業から
- 目指すのは正解を当てることではなく、「選べる状態」を作ること
いちばん避けたいのは、何も知らないまま時間だけが過ぎることです。求人を1つ見る、記事を1本読む、誰かに1回話を聞く。それだけでも、来週の自分が持っている判断材料は、今日より確実に増えています。
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