仕事を辞めたあとの年金はどうする?国民年金への切替と、失業なら使える特例免除

仕事を辞めたあとの年金はどうする?国民年金への切替と、失業なら使える特例免除 転職

退職の手続きで、健康保険の次に忘れられやすいのが年金です。

会社を辞めた翌日から、厚生年金の資格はなくなります。そして次の会社にすぐ入らないなら、自分で国民年金に切り替える届出が必要です。

結論 届出は退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口へ。
そしてお金がなくて払えないなら、放置せず「免除」を申請してください。
未納と免除はまったく別物です。未納だと、万一のときの障害基礎年金・遺族基礎年金が受け取れなくなる場合があります。
さらに失業した人には、本人の前年所得を除外して審査してもらえる特例があります。

この記事では、切替の手順と、20代の早期離職者がいちばん使える「失業等による特例免除」を整理します。

退職日が決まったら読んでください
この記事でわかること
  • いつまでに、どこで手続きするのか
  • 払えないときの選択肢(免除・納付猶予)
  • 未納と免除で、将来と「今」がどう変わるか
  • 失業等による特例免除(本人の前年所得を除外して審査)
  • あとから払い直せる期間

まず|辞めたら自動で切り替わるわけではない

会社員のあいだは厚生年金の被保険者(国民年金の第2号被保険者)でした。保険料は給料から天引きされ、会社が半分を負担していました。

退職して次の会社に入らないなら、国民年金の第1号被保険者になります。ここは自動ではありません。自分で届け出ます。

退職したときの国民年金の手続き

適用事業所を退職し、しばらく次の会社に入らない場合や自営業者等になった場合は、国民年金の第1号被保険者への種別変更が必要です。

会社員に扶養されていた配偶者(第3号被保険者)がいる場合、その配偶者も同時に第1号への変更が必要になります。

出典:日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」

届出の期限は、多くの市区町村で退職日の翌日から14日以内と案内されています。健康保険の国民健康保険と同じ期限なので、まとめて1回で済ませられます。

あなたの状況年金はどうなるか手続き
空白なく次の会社へ
(月末退職・翌月1日入社など)
次の会社の厚生年金にそのまま不要(会社がやる)
しばらく働かない国民年金の第1号被保険者14日以内に市区町村
家族の扶養に入る
(配偶者が会社員で年収要件を満たす)
国民年金の第3号被保険者配偶者の勤務先を通して届出
1日でも空白があるその期間は第1号必要
見落としやすいところ 「今月末で辞めて、来月半ばに入社」のように数日でも空白があると、その月は第1号になります。
1日も空かない場合を除いて、原則として手続きが必要だと考えてください。

どこで、何を持っていくか

窓口はお住まいの市区町村の国民年金の担当課です。年金事務所ではなく市区町村で受け付けます。

  • 退職日が確認できる書類(離職票、退職証明書、健康保険資格喪失証明書など)
  • 基礎年金番号がわかるもの(年金手帳、基礎年金番号通知書、マイナンバーカード)
  • 本人確認書類
  • 印鑑(不要な自治体も増えています)

退職日を証明する書類は、国民健康保険の手続きでも同じものを使います。何が届くか、いつ届くかは別の記事に整理しています。

書類が届かないときは 離職票がなかなか来ない、源泉徴収票がもらえない。そういうときの期限と対処はこちらです。
退職するときに会社からもらう書類・返すもの|いつ届く?来ないときは?

払えないとき|「未納」と「免除」はまったく違う

ここがこの記事でいちばん伝えたい部分です。

収入がない時期に保険料を払うのはきついです。だからといってそのまま放置する(未納)のと、申請して免除を受けるのとでは、扱いが根本的に違います。

国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

免除は全額・4分の3・半額・4分の1の4種類。本人・配偶者・世帯主の前年所得が一定額以下の場合に承認されます。

納付猶予は20歳以上50歳未満が対象で、本人・配偶者の前年所得で審査されます。

承認された期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に算入されます。年金額への反映は全額免除で2分の1、4分の3免除で8分の5、半額免除で8分の6、4分の1免除で8分の7。納付猶予は受給資格期間には入りますが、年金額には反映されません。

出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」

表にすると違いがはっきりします。

受給資格期間年金額への反映障害・遺族年金
全額納付入る満額受けられる
全額免除入る2分の1受けられる
4分の3免除入る8分の5受けられる
半額免除入る8分の6受けられる
4分の1免除入る8分の7受けられる
納付猶予入る反映されない受けられる
未納(放置)入らない反映されない受けられない場合がある

同じ「払っていない」でも、申請したかどうかで結果がまったく変わります。免除なら全額払わなくても年金額の半分が残り、未納なら何も残りません。

未納が怖いのは、老後より「今」

20代だと「老後の年金が少し減るくらい」と思いがちです。本当のリスクはそこではありません。

ここが本当の落とし穴 国民年金には障害基礎年金と遺族基礎年金があります。
病気やけがで働けなくなったとき、事故に遭ったときに支えるための制度です。
未納のままだと、これらを受け取れない場合があります。
免除や納付猶予が承認されていれば、保険料を払っていなくても対象として扱われます。

働けない期間に備えるための制度なのに、働けない期間に放置したせいで使えなくなる。これがいちばんもったいないパターンです。

申請は市区町村の窓口でできます。通るかどうかは審査してみないとわかりません。迷うくらいなら出しておいてください。

失業した人には特例がある

免除の審査は前年の所得で行われます。ここで多くの人がつまずきます。

前年はフルタイムで働いていたので、所得だけ見れば「払えるはず」と判定されてしまうからです。今は無収入なのに、去年の給料で審査される。おかしな話に思えます。

そのための仕組みが用意されています。

失業等による特例免除

退職(失業)を理由に申請する場合、本人の前年所得を除外して審査されます。

申請書に、雇用保険被保険者離職票、雇用保険受給資格者証、雇用保険被保険者資格喪失確認通知書などのいずれかを添付します。

雇用保険の被保険者でなかった場合は、勤務先が作成する所定様式の証明書などで代えられることがあります。

出典:日本年金機構、各市区町村(国民年金)

つまり離職票を持っていくかどうかで、審査の結果が変わります。前年に働いていた20代ほど、この差は大きくなります。

自動では適用されません 特例免除は申請して、書類を添付して、はじめて適用されます。
窓口で「失業を理由にした特例免除で申請したい」とはっきり伝えてください。
なお配偶者や世帯主の所得は審査に残ります。実家に戻る場合は、世帯主である親の所得も見られる点に注意してください。

ひとり暮らしのまま無職になった20代なら、全額免除まで通る可能性が十分にあります。

あとから払い直せる|追納は10年以内

免除や納付猶予を受けた期間は、あとから納めて年金額を増やせます。

追納

免除・納付猶予が承認された期間は、10年以内であれば申し出により後から納付(追納)でき、老齢基礎年金を満額に近づけられます。

出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」

ここが免除の強いところです。今は払わず、転職して収入が戻ってから払い直せばいい。未納にはこの道がありません。

次の会社が決まって落ち着いたら、追納を検討してください。10年という期限だけ覚えておけば十分です。

何もしないとどうなるか

放置すると起きること
届出をしない国民年金の加入手続きが済んでいない状態になる。あとでさかのぼって保険料を請求される
納付書が来ても払わない未納期間として記録される
未納のまま病気やけが障害基礎年金を受け取れない場合がある
未納が続く老齢基礎年金の受給資格期間に入らない。将来の年金額も増えない
免除を申請していた受給資格期間に入り、年金額にも一部反映。10年以内なら追納もできる

やることは窓口に行って申請書を出すだけです。それだけで扱いがここまで変わります。

判断の順番

この順で動く
  • ①次の会社まで空白があるか確認する。1日もなければ手続きは不要
  • ②退職日の翌日から14日以内に市区町村へ。国民健康保険と同時に済ませる
  • ③離職票を持っていく。特例免除の判定に使う
  • ④払えそうになければ、その場で免除を申請する。通るかは審査してもらう
  • ⑤収入が戻ったら追納を検討する。10年以内
健康保険もセットで 年金と同じ日に、健康保険の切替も必要です。任意継続は20日を過ぎると二度と選べません。
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よくある質問

Q
14日を過ぎてしまいました。どうなりますか?
A
手続き自体は過ぎてからでもできます。ただし加入は退職日の翌日にさかのぼるため、保険料もその分さかのぼって発生します。放置している期間が長いほど、あとでまとめて請求される額が大きくなります。気づいた時点ですぐ市区町村の窓口へ行ってください。免除の申請も同時にできます。
Q
実家に戻ります。親に迷惑がかかりますか?
A
保険料の支払い義務は本人にありますが、免除の審査では世帯主(親)の所得も見られます。そのため実家に戻ると免除が通りにくくなることがあります。ただし20歳以上50歳未満なら、世帯主の所得を審査に含めない納付猶予という選択肢があります。窓口で両方を比べてもらってください。
Q
免除と納付猶予、どちらを選べばいいですか?
A
通るなら免除のほうが有利です。免除は年金額に一部反映されますが、納付猶予は受給資格期間に入るだけで年金額には反映されないためです。ただし世帯主の所得が高くて免除が通らない場合は、納付猶予が現実的な選択肢になります。申請書は共通なので、窓口でどちらの対象になるか判定してもらえます。
Q
離職票がまだ届いていません。先に手続きできますか?
A
加入の届出は、退職日が確認できる別の書類(退職証明書、健康保険資格喪失証明書など)でも進められる場合があります。特例免除の申請だけあとから出すこともできるので、まず窓口に事情を伝えてください。離職票が届く目安は退職から10日から2週間ほどです。
Q
すぐ転職先が決まりそうです。それでも申請したほうがいいですか?
A
空白が1か月でもあるなら、その月は自分で納めることになります。払えるなら納めて構いません。払うのが厳しい月があるなら、その期間だけでも免除を申請しておくほうが安全です。入社が決まったら、次の会社が厚生年金の手続きをしてくれます。

まとめ

この記事のまとめ
  • 退職して次の会社に入らないなら国民年金の第1号被保険者になる。自動ではなく届出が必要
  • 期限は退職日の翌日から14日以内。国民健康保険と同じ窓口で同時に済ませられる
  • 払えないときは放置せず申請する。免除は全額・4分の3・半額・4分の1の4種類
  • 全額免除でも年金額の2分の1が残る。未納は何も残らない
  • 未納だと障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取れない場合がある。これがいちばんのリスク
  • 失業を理由に申請すれば、本人の前年所得を除外して審査される。離職票などの添付が必要
  • 世帯主・配偶者の所得は審査に残る。実家に戻るなら納付猶予も比べる
  • 免除・納付猶予の期間は10年以内なら追納できる

年金は、辞めた直後にいちばん後回しにされる手続きです。督促が来るまで気づかない人もいます。

でもやることは、離職票を持って市区町村の窓口に行き、免除を申請するだけです。健康保険の手続きと同じ日に、同じ場所で終わります。

払えないことは、そのままでは不利になりません。申請しないことが不利になります。

※ 本記事は2026年9月時点の公表情報にもとづく一般的な説明です。届出の期限・必要書類・免除の承認基準や適用範囲は、お住まいの市区町村や個別の事情によって異なります。実際の手続きは、市区町村の国民年金の窓口またはお近くの年金事務所でご確認ください。

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